『表象12』掲載論文

今月出版された『表象12』に論文「環境芸術以後の日本美術における音響技術ーー一九七〇年代前半の美共闘世代を中心に」を掲載していただきました。昨年夏に書いたものですが、日本美術サウンドアーカイヴとも重なる内容です。

英文要旨の日本語訳はこちら。

金子智太郎「環境芸術以後の日本美術における音響技術ーー一九七〇年代前半の美共闘世代を中心に」

本論文は美共闘世代による1970年代前半の音響技術を用いた作品の意義について検討する。当時注目を集めていたもの派がテクノロジーと距離をとったのに対して、美共闘世代はさまざまなメディアを積極的に表現に取りいれた。さらに、その音響技術の用いかたは、新しいテクノロジーをさかんに使用した1960年代後半の環境芸術とも大きく異なった。本論文は美共闘世代と環境芸術の作家による音響技術の用いかたを比較する。そして前者は、後者が構想した「環境」のただなかに非均質性を生みだすことで、独自の表現をつくりあげたのではないかと論じる。

日本美術サウンドアーカイヴは6月25日から29日に、1月から4月までの企画をめぐる資料展を開催する予定です。会場は東京藝術大学上野キャンバスの大学会館です。これまでの企画で制作したリーフレットも再び配布します。詳細は追ってご報告します。

日本美術サウンドアーカイヴ関連音源の販売

日本美術サウンドアーカイヴは現在、記録をまとめたサイトを作成中です。次回の企画はまだ未定ですが、現在でも関連音源は入手できます。


Great White Light「Great White Light」LP


大西清自、カワスミカズオ、塩谷光吉、浜田剛爾からなるグループ、Great White Lightが1971年に岸記念体育会館で上演したパフォーマンスの記録です。大西さんは60年代半ばより風船や送風機を使用した作品で知られていました。Great White Lightの音の中心は彼が送風機でマイクを吹いたノイズです。建築家の塩谷さんが数台の送風機とマイク、スピーカーなどからなる舞台装置を設計し、浜田さんは複数のマイクを使ったボイスパフォーマンス、カワスミさんはおそらくさまざまな音響効果で参加しました。

このレコードはEdition OMEGA POINTと日本美術サウンドアーカイヴの共同企画による、もとは大西清自さんの作品集に付属していたLPの再発です。ライナーにはパフォーマンスの様子や各メンバーの活動など、詳細な情報を掲載しました。

OMEGA POINTのサイトで購入できます。試聴も可能です。
http://omega-point.shop-pro.jp/?pid=129963744



Art & Space ここからでの展示にあわせて制作したカセットエディションも、ここからオーナーのサイト VLZ ProduktやOMEGA POINTで販売しています。これらの詳しい情報はまた追って。

VLZ Produkt https://www.vlzprodukt.com/
OMEGA POINT http://omega-point.shop-pro.jp/




また今週末は京都「外」でトークイベントに出演します。21日夜は日本美術サウンドアーカイヴについて、22日夜は生録について話す予定です。

http://soto-kyoto.jp/event/180421-22/

4月の日本美術サウンドアーカイヴ

次の日曜から南青山Art & Space ここからにて「日本美術サウンドアーカイヴ──和田守弘《認識に於ける方法序説 No.l SELF・MUSICAL》1973年」を開催します。


和田守弘《認識に於ける方法序説 No.l SELF・MUSICAL》
テープレコーダー 5台、スピーカー4台、Tシャツ 15枚、黒板 1枚他 田村画廊 1973年

「SELF・MUSICAL」という副題が印象的な、オープンリールデッキでエンドレステープを流す作品です。和田さんが吹きこんだ当時の録音がそのまま残されていました。音を重ねるとはどういうことか、を美術の視点から探っている作品…と言えるかもしれません。

今回も展示にくわえて、カセットエディションの発売を予定しています。こちらは電話をつかう作品です。また会場ではEdition OMEGA POINTと日本美術サウンドアーカイヴが共同制作したLP「Great White Light」も販売します。このLPについては追って詳細を報告します。

OMEGA POINTのページはこちら http://omega-point.shop-pro.jp/?pid=129963744


今回で日本美術サウンドアーカイヴの再制作・再上演企画はいったん休止となります。そこで、初日のトークイベントでは和田守弘さんの作品紹介とともに、畠中実さんとこれまでの企画をふりかえる予定です。

展示の詳細はこちら  https://tomotarokaneko.com/projects/jasa/selfmusical/
トークの予約はこちらから https://cococara-minamiaoyama.jimdo.com/日本美術サウンドアーカイヴ特設ページ/





再制作・再上演はしばらく休みますが、活動を紹介するイベントは続けていく予定です。

4月21-22日は京都の「外」にて虹釜太郎さんとの共同企画を開催します。21日は「日本美術サウンドアーカイヴレポート」と題して、音や映像をまじえてサウンドアーカイヴの記録を話します。ゲストは川崎弘二さん。22日は「生録」レコードを聞く企画です。

詳細・予約はこちらから http://soto-kyoto.jp/event/180421-22/

このイベントについても追って報告します。

3月の日本美術サウンドアーカイヴ 2

3月25日には三鷹SCOOLにて「日本美術サウンドアーカイヴ──渡辺哲也《CLIMAX No.1》1973年」を開催します。この作品は当時「ときわ画廊」にて6時間かけて上演されました。

予約はこちら:http://scool.jp/event/20180325/



提供:伊藤純子 撮影者不明

《CLIMAX No.1》
オープンリールテープ、マイクロフォン、カセットテープ 1973年 個展「CLIMAX No.1」ときわ画廊(東京)


上の写真は渡辺さんの作品ファイルにあったものですが、裏焼きだろうというご指摘もいただいております(理由はまだわかりません)。観客は飲物を横においてリラックスして鑑賞していたように見えます。

残された資料にしたがい、今回の再演も同じ時間をかけて上演します。タイムテーブルはこちらです。

12:00-18:00 渡辺哲也《CLIMAX No.1》再演

 12:00-13:00 基本型の録音・再生
 13:00-14:00 第1次録音・再生
 14:00-15:00 第2次録音・再生
 15:00-16:00 第3次録音・再生
 16:00-17:00 第4次録音・再生
 17:00-18:00 第5次録音・再生

18:00-19:00 畠中実、金子智太郎によるトーク

19:00-20:00 渡辺哲也《EMULSION SEA》《WALL SEA》《コーヒーを飲む》上映

途中入退場は自由です。会場で飲物を販売しています。

会場には渡辺哲也さんの作品や渡辺さんが関わった展覧会などについての資料を展示します。70年代に美術と映画のあいだで活動していた渡辺哲也さんの活動をたどることができます。

3月の日本美術サウンドアーカイヴ 1

3月11日より「日本美術サウンドアーカイヴ──野村仁《音調、強度、時間を意識して、レコード(糸)を操作する》1973年」が南青山Art & Space ここからにてはじまります。今回展示する作品は、タイトルが作品のインストラクションになっている《音調、強度、時間を意識して、レコード(糸)を操作する》と、ヴィデオ作品《Rape-Blossoms, Devil-Fish, Iron-y》(1975年)です。



©野村仁

《音調、強度、時間を意識して、レコード(糸)を操作する》
種々の糸、ピアノ線、レコードプレーヤー 制作 1973年 「現代美術 '73-'74」アート・コア・ホール(京都)1974年


この作品は東京では初めての展示になります。野村さんにはレコード作品「HEARING」シリーズや、《‘moon’ score》にはじまる「score」シリーズをふくむ「聴覚映像」と呼ばれる作品群があり、そのうちの一作品です。展示会場で配布するリーフレットにはこの「聴覚映像」についての解説を掲載します。

11日には野村仁さんのトークイベントを開催します。「聴覚映像」の詳細についてお話しいただく予定です。前回までと異なり17:00-18:30の開催となりますのでご注意ください。

日本美術サウンドアーカイヴ 2, 3, 4月

明日から「日本美術サウンドアーカイヴ──高見澤文雄《柵を越えた羊の数》1974年」の開催です。会場ではリーフレットを配布、ディションを販売しています。初日夜はトークイベントを開催します。ぜひお越しください!


日本美術サウンドアーカイヴ──高見澤文雄《柵を越えた羊の数》1974年

日時 2月11日(日)〜2月17日(土)12:00-20:00(月曜休廊、最終日は12:00-17:00)
会場 南青山 Art & Space ここから https://cococara-minamiaoyama.jimdo.com/

展示作品
高見澤文雄《柵を越えた羊の数》(1974年)再制作 他

トークイベント
2月11日(日)19:00-20:30
会場 南青山 Art & Space ここから
入場料 1000円
予約ページ https://cococara-minamiaoyama.jimdo.com/日本美術サウンドアーカイヴ特設ページ
出演 高見澤文雄、畠中実、金子智太郎



また、サイトに日本美術サウンドアーカイヴの3-4月の企画を掲載しました。1月のイベント・展示にて行った3-4月の告知から1点変更があります。和田守弘さんの展示は4月8日から1週間になりました。ご注意ください。


日本美術サウンドアーカイヴ──野村仁《音調、強度、時間を意識して、レコード(糸)を操作する》1973年

会期 2018年3月11日(日)〜3月17日(土)12:00-20:00(月曜休廊、最終日は12:00-17:00)
会場 南青山 Art & Space ここから https://cococara-minamiaoyama.jimdo.com/

展示作品
野村仁《音調、強度、時間を意識して、レコード(糸)を操作する》(1973年)再制作
野村仁《Rape-Blossoms, Devil-Fish, Iron-y》(1975 年)

トークイベント
2018年3月11日(日)17:00-18:30
会場 南青山 Art & Space ここから
入場料 1000円
予約ページ https://cococara-minamiaoyama.jimdo.com/日本美術サウンドアーカイヴ特設ページ
出演 野村仁、金子智太郎



日本美術サウンドアーカイヴ──渡辺哲也《CLIMAX No.1》1973年

日時 2018年3月25日(日)12:00-20:00
会場 三鷹 SCOOL http://scool.jp/
入場料 予約2000円/当日2500円
予約ページ http://scool.jp/event/20180325/
協力 日本映像学会アナログメディア研究会

上演作品
渡辺哲也《CLIMAX No.1》(1973年)再演
渡辺哲也《コーヒーを飲む》(1975年) 他

レクチャー、トーク
出演 畠中実、金子智太郎



日本美術サウンドアーカイヴ──和田守弘《認識に於ける方法序説 No.Ⅰ SELF・MUSICAL》1973年

会期 2018年4月8日(日)〜4月14日(土)12:00-20:00(月曜休廊、最終日は12:00-17:00)
会場 南青山 Art & Space ここから https://cococara-minamiaoyama.jimdo.com/

展示作品
和田守弘《認識に於ける方法序説 No.Ⅰ SELF・MUSICAL》(1973年)再制作 他

トークイベント
2018年4月8日(日)19:00-20:30
会場 南青山 Art & Space ここから
入場料 1000円
予約ページ https://cococara-minamiaoyama.jimdo.com/日本美術サウンドアーカイヴ特設ページ
出演 畠中実、金子智太郎

日本美術サウンドアーカイヴリーフレット・次回の企画

Art & Space ここからで開催した「日本美術サウンドアーカイヴ──稲憲一郎《record》1973年」が無事終了しました。この展覧会では、稲憲一郎《record》(1973年)の再制作、稲憲一郎《immature plane 12-110》(2012年)、「精神生理学研究所」冊子をはじめとする資料を展示し、稲憲一郎《walking/staying》(1972年)カセットエディションを販売しました。

また今回もリーフレットを配布しました。

テキスト:
稲憲一郎「45年後の再制作――再び生み出されるもの」
金子智太郎「流動するものへの欲望――稲憲一郎《record》」

デザイン:川村格夫



日本美術サウンドアーカイヴの次回の企画は「日本美術サウンドアーカイヴ──高見澤文雄《柵を越えた羊の数》1974年」(「高」はハシゴの高)です。会場は同じく南青山の Art & Space ここから、会期は2月11日〜17日(月曜休廊)です。初日にはトークイベントを開催します。詳細はこちらからご確認ください。

日本美術サウンドアーカイヴ──高見澤文雄《柵を越えた羊の数》1974年
https://tomotarokaneko.com/projects/jasa/numberofsheep/


次回も再制作だけでなく資料、カセットエディション、リーフレットなどを取り揃える予定です。2月16日(金)20:00-21:30には、TPAM2018・TPAMフリンジプログラムとして「日本美術サウンドアーカイヴプレゼンテーション」を開催します。

日本美術サウンドアーカイヴプレゼンテーション
https://www.tpam.or.jp/program/2018/?program=fumio-takamizawa



また近日中に、これまで企画のなかで話した、日本美術サウンドアーカイヴの3〜4月の企画についても詳細を告知したいと思います。