日本美術サウンドアーカイヴ 2018年1月7日〜4月14日 資料展

サイトに「日本美術サウンドアーカイヴ 2018年1月7日〜4月14日 資料展」の情報を公開しました。

https://tomotarokaneko.com/projects/jasa/20180107_0414/

日本美術サウンドアーカイヴ 2018年1月7日〜4月14日 資料展

会期 2018年6月25日(月)〜6月29日(金)12:00〜19:30
会場 東京藝術大学上野キャンパス大学会館2F展示室 
 
本展覧会は日本美術サウンドアーカイヴが2018年1月7日から4月14日までに開催した企画の関連資料(録音、写真、映像、リーフレット、機材、参考資料他)、発表した制作物(レコード、カセットエディション)を展示します。
 
トークイベント
日時 2018年6月25日(月)18:00-19:30 会場 東京藝術大学上野キャンパス大学会館2F展示室 入場無料
出演 畠中実、金子智太郎 ゲスト 平倉圭横浜国立大学准教授)

今回の展示は先に開催した企画のさまざまな記録が中心で、作品の再演や再制作はありません。日本美術サウンドアーカイヴの大きな関心事のひとつ、作品とその記録の関係をあらためて考える機会にします。

トークイベントではゲストに横浜国立大学平倉圭さんをお呼びして、新たな視点から作品を論じていきます。平倉さんが近年論じている「異鳴の技法」についてもお伺いしたいです。


日本美術サウンドアーカイヴ関連のページも整理しました。制作物(レコード、カセットエディション)の情報、オンラインショップのリンクなどを追加しています。

https://tomotarokaneko.com/projects/jasa/

翻訳 D・カニングハム「集合体 中島吏英のサウンド・オブジェ」

中島吏英さんの作品集『おとになるーー30個のオブジェと10分の音』(トゥルーリング、2018年)が出版されました。収録されている論考、デイヴィッド・カニングハム「集合体ーー中島吏英のサウンド・オブジェ」を翻訳しました。

『おとになるーー30個のオブジェと10分の音』紹介ページ
http://cawaiifactory.jp/journal/#/true_ring/_3010/


作品集は中島さんによる日用品やモーターを組みあわせてつくられたオブジェの写真が中心で、QRコードもついていてオブジェの音を聞くことができます。Special Editionはサイン入りCDつき。

カニングハムの論考は中島さんの展示やパフォーマンスを個々に紹介しながら、作品のひとつの聞きかたを提案するような内容です。

 たいていの場合、作品を構成するオブジェをひとつひとつ作動させていくと、全体の音の大きさは予想どおりだんだん上がっていく。しかし、全体の音のダイナミクスはゆるやかに上がるのではなく、対数曲線を描くように上昇する。中島の作品ではよくプロセスの途中のあまり予想できない時点で全体の音量が急上昇する。そうすると、それぞれのオブジェの個性的な音が全体の音に混ざり、作品が均質になる。個々の音は聞きわけられなくなり、全体が雪だるま式に空間をすっかり満たしていく。この状況がどうやって生じるのかを特定するのは難しい。オブジェがだす音が一定の量に達すると反響し、共振周波数や高調波によって強められるといった、空間の音響効果が関係しているのだろう。

『おとになるーー30個のオブジェと10分の音』は六本木のShugo Arts 、国立のMuseumshopTで販売しています。通販も準備中だそうです。詳細は上記リンク先に。

『表象12』掲載論文

今月出版された『表象12』に論文「環境芸術以後の日本美術における音響技術ーー一九七〇年代前半の美共闘世代を中心に」を掲載していただきました。昨年夏に書いたものですが、日本美術サウンドアーカイヴとも重なる内容です。

英文要旨の日本語訳はこちら。

金子智太郎「環境芸術以後の日本美術における音響技術ーー一九七〇年代前半の美共闘世代を中心に」

本論文は美共闘世代による1970年代前半の音響技術を用いた作品の意義について検討する。当時注目を集めていたもの派がテクノロジーと距離をとったのに対して、美共闘世代はさまざまなメディアを積極的に表現に取りいれた。さらに、その音響技術の用いかたは、新しいテクノロジーをさかんに使用した1960年代後半の環境芸術とも大きく異なった。本論文は美共闘世代と環境芸術の作家による音響技術の用いかたを比較する。そして前者は、後者が構想した「環境」のただなかに非均質性を生みだすことで、独自の表現をつくりあげたのではないかと論じる。

日本美術サウンドアーカイヴは6月25日から29日に、1月から4月までの企画をめぐる資料展を開催する予定です。会場は東京藝術大学上野キャンバスの大学会館です。これまでの企画で制作したリーフレットも再び配布します。詳細は追ってご報告します。

日本美術サウンドアーカイヴ関連音源の販売

日本美術サウンドアーカイヴは現在、記録をまとめたサイトを作成中です。次回の企画はまだ未定ですが、現在でも関連音源は入手できます。


Great White Light「Great White Light」LP


大西清自、カワスミカズオ、塩谷光吉、浜田剛爾からなるグループ、Great White Lightが1971年に岸記念体育会館で上演したパフォーマンスの記録です。大西さんは60年代半ばより風船や送風機を使用した作品で知られていました。Great White Lightの音の中心は彼が送風機でマイクを吹いたノイズです。建築家の塩谷さんが数台の送風機とマイク、スピーカーなどからなる舞台装置を設計し、浜田さんは複数のマイクを使ったボイスパフォーマンス、カワスミさんはおそらくさまざまな音響効果で参加しました。

このレコードはEdition OMEGA POINTと日本美術サウンドアーカイヴの共同企画による、もとは大西清自さんの作品集に付属していたLPの再発です。ライナーにはパフォーマンスの様子や各メンバーの活動など、詳細な情報を掲載しました。

OMEGA POINTのサイトで購入できます。試聴も可能です。
http://omega-point.shop-pro.jp/?pid=129963744



Art & Space ここからでの展示にあわせて制作したカセットエディションも、ここからオーナーのサイト VLZ ProduktやOMEGA POINTで販売しています。これらの詳しい情報はまた追って。

VLZ Produkt https://www.vlzprodukt.com/
OMEGA POINT http://omega-point.shop-pro.jp/




また今週末は京都「外」でトークイベントに出演します。21日夜は日本美術サウンドアーカイヴについて、22日夜は生録について話す予定です。

http://soto-kyoto.jp/event/180421-22/

4月の日本美術サウンドアーカイヴ

次の日曜から南青山Art & Space ここからにて「日本美術サウンドアーカイヴ──和田守弘《認識に於ける方法序説 No.l SELF・MUSICAL》1973年」を開催します。


和田守弘《認識に於ける方法序説 No.l SELF・MUSICAL》
テープレコーダー 5台、スピーカー4台、Tシャツ 15枚、黒板 1枚他 田村画廊 1973年

「SELF・MUSICAL」という副題が印象的な、オープンリールデッキでエンドレステープを流す作品です。和田さんが吹きこんだ当時の録音がそのまま残されていました。音を重ねるとはどういうことか、を美術の視点から探っている作品…と言えるかもしれません。

今回も展示にくわえて、カセットエディションの発売を予定しています。こちらは電話をつかう作品です。また会場ではEdition OMEGA POINTと日本美術サウンドアーカイヴが共同制作したLP「Great White Light」も販売します。このLPについては追って詳細を報告します。

OMEGA POINTのページはこちら http://omega-point.shop-pro.jp/?pid=129963744


今回で日本美術サウンドアーカイヴの再制作・再上演企画はいったん休止となります。そこで、初日のトークイベントでは和田守弘さんの作品紹介とともに、畠中実さんとこれまでの企画をふりかえる予定です。

展示の詳細はこちら  https://tomotarokaneko.com/projects/jasa/selfmusical/
トークの予約はこちらから https://cococara-minamiaoyama.jimdo.com/日本美術サウンドアーカイヴ特設ページ/





再制作・再上演はしばらく休みますが、活動を紹介するイベントは続けていく予定です。

4月21-22日は京都の「外」にて虹釜太郎さんとの共同企画を開催します。21日は「日本美術サウンドアーカイヴレポート」と題して、音や映像をまじえてサウンドアーカイヴの記録を話します。ゲストは川崎弘二さん。22日は「生録」レコードを聞く企画です。

詳細・予約はこちらから http://soto-kyoto.jp/event/180421-22/

このイベントについても追って報告します。

3月の日本美術サウンドアーカイヴ 2

3月25日には三鷹SCOOLにて「日本美術サウンドアーカイヴ──渡辺哲也《CLIMAX No.1》1973年」を開催します。この作品は当時「ときわ画廊」にて6時間かけて上演されました。

予約はこちら:http://scool.jp/event/20180325/



提供:伊藤純子 撮影者不明

《CLIMAX No.1》
オープンリールテープ、マイクロフォン、カセットテープ 1973年 個展「CLIMAX No.1」ときわ画廊(東京)


上の写真は渡辺さんの作品ファイルにあったものですが、裏焼きだろうというご指摘もいただいております(理由はまだわかりません)。観客は飲物を横においてリラックスして鑑賞していたように見えます。

残された資料にしたがい、今回の再演も同じ時間をかけて上演します。タイムテーブルはこちらです。

12:00-18:00 渡辺哲也《CLIMAX No.1》再演

 12:00-13:00 基本型の録音・再生
 13:00-14:00 第1次録音・再生
 14:00-15:00 第2次録音・再生
 15:00-16:00 第3次録音・再生
 16:00-17:00 第4次録音・再生
 17:00-18:00 第5次録音・再生

18:00-19:00 畠中実、金子智太郎によるトーク

19:00-20:00 渡辺哲也《EMULSION SEA》《WALL SEA》《コーヒーを飲む》上映

途中入退場は自由です。会場で飲物を販売しています。

会場には渡辺哲也さんの作品や渡辺さんが関わった展覧会などについての資料を展示します。70年代に美術と映画のあいだで活動していた渡辺哲也さんの活動をたどることができます。

3月の日本美術サウンドアーカイヴ 1

3月11日より「日本美術サウンドアーカイヴ──野村仁《音調、強度、時間を意識して、レコード(糸)を操作する》1973年」が南青山Art & Space ここからにてはじまります。今回展示する作品は、タイトルが作品のインストラクションになっている《音調、強度、時間を意識して、レコード(糸)を操作する》と、ヴィデオ作品《Rape-Blossoms, Devil-Fish, Iron-y》(1975年)です。



©野村仁

《音調、強度、時間を意識して、レコード(糸)を操作する》
種々の糸、ピアノ線、レコードプレーヤー 制作 1973年 「現代美術 '73-'74」アート・コア・ホール(京都)1974年


この作品は東京では初めての展示になります。野村さんにはレコード作品「HEARING」シリーズや、《‘moon’ score》にはじまる「score」シリーズをふくむ「聴覚映像」と呼ばれる作品群があり、そのうちの一作品です。展示会場で配布するリーフレットにはこの「聴覚映像」についての解説を掲載します。

11日には野村仁さんのトークイベントを開催します。「聴覚映像」の詳細についてお話しいただく予定です。前回までと異なり17:00-18:30の開催となりますのでご注意ください。