ポスト・インプロヴィゼーションの地平を振り返る――即興音楽を語る言葉をめぐって(ゲスト:福島恵一)
細田成嗣と金子智太郎によるレクチャー・イベントの第3回は、細田が開催してきたライブ&トーク・イベント「ポスト・インプロヴィゼーションの地平を探る」の録音を振り返るいわばメタ・トーク。ゲストは音楽評論家、福島恵一!
細田は「ポスト・インプロヴィゼーションの地平を探る」を2018年5月より毎月、国分寺のジャズ喫茶「エムズ」で開催してきた。毎回、即興音楽シーンで活躍する音楽家をゲストに招き、ソロ・パフォーマンスの後に細田が公開インタビューを行った。
今回のイベントは細田、金子、福島が選んだ「ポスト・インプロヴィゼーションの地平を探る」のトークの録音と関連音源を聞きながら、定まった様式を持たない(ことが望ましいとされる)即興音楽はいかに語られた/語られうるのかを話しあう。ゲストの福島はこれまで長年、即興演奏をめぐる聞くことと語ることの関わりについて、ときに強い批判をまじえて論じつづけてきた。
「ポスト・インプロヴィゼーションの地平を振り返る——即興音楽を語る言葉をめぐって」は細田が切りとってきた、生き生きとした即興音楽シーンのひとつの見取り図の再確認である。また言葉をめぐる3人のメタ・トークは、即興音楽にかぎらず音楽批評一般、さらにパフォーマンスや即興と関わる芸術全般に関心をもつ人にとっても必見の内容だ。
会場:SCOOL(東京都三鷹市下連雀 3-33-6 三京ユニオンビル 5F)
出演:細田成嗣(ライター/音楽批評)、金子智太郎(美学/聴覚文化論)
ゲスト:福島恵一(音楽批評)
日程:6月1日(土)19:00スタート
料金:予約1,500円 当日2,000円(+1ドリンクオーダー)
予約・お問合せ先:postimprovisation@gmail.com
SCOOL:http://scool.jp/event/20190601/ →細田成嗣「いかにして(即興)音楽批評は成立し得るのか」
福島恵一:1960年東京都文京区生まれ。音楽批評。プログレを振り出しにフリー・ミュージック、現代音楽、トラッド、古楽、民族音楽など辺境を探求。『アヴァン・ミュージック・ガイド』、『プログレのパースペクティヴ』、『200CDプログレッシヴ・ロック』、『捧げる-灰野敬二の世界』等に執筆。2010年3~6月に音盤レクチャー「耳の枠はずし」(5回)を開催。2014年11月から津田貴司、歸山幸輔とリスニング・イヴェント『松籟夜話』を開催中。http://miminowakuhazushi.blog.fc2.com/
金子智太郎:1976年生まれ。美学、聴覚文化論。東京藝術大学等で非常勤講師。最近の仕事に論文「環境芸術以後の日本美術における音響技術──一九七〇年代前半の美共闘世代を中心に」(『表象』12号、2018年)、「一九七〇年代の日本における生録文化──録音の技法と楽しみ」(『カリスタ』23号、2017年)ほか。共訳にジョナサン・スターン『聞こえくる過去──音響再生産の文化的起源』(中川克志、金子智太郎、谷口文和訳、インスクリプト、2015年)。雑誌『アルテス』でサウンド・スタディーズ/サウンド・アートをめぐる洋書レビュー連載(2011〜15年)。日本美術サウンドアーカイヴ共同主催(2017年〜)。https://tomotarokaneko.com/
細田成嗣:1989年生まれ。ライター/音楽批評。佐々木敦が主宰する批評家養成ギブス修了後、2013年より執筆活動を開始。『ele-king』『JazzTokyo』『Jazz The New Chapter』『ジャズ批評』『ユリイカ』などに寄稿。主な論考に「即興音楽の新しい波 ──触れてみるための、あるいは考えはじめるためのディスク・ガイド」( http://www.ele-king.net/columns/005754/ )、「来たるべき「非在の音」に向けて──特殊音楽考、アジアン・ミーティング・フェスティバルでの体験から」( http://asianmusic-network.com/archive/2018/02/2017.html )など。また2018年5月より国分寺M’sにて「ポスト・インプロヴィゼーションの地平を探る」と題したイベント・シリーズを開催中。https://twitter.com/HosodaNarushi
サウンド×フェミニズム×ジェンダー×アクティビズム ロンドン芸術大学と東京藝術大学の共同主催イベントの研究/作品発表の公募
イメージ:Franziska Barczyk 「女性たちははっきりと言う」 (C) Barczyk 2018 提供:アーティスト
SGFA東京とは
2019年10月4日(金)、5日(土)に東京藝術大学大学美術館陳列館で、リサーチイベントSGFA(サウンド::ジェンダー::フェミニズム::アクティビズム)東京を開催します。この開催に伴い、音とジェンダー/フェミニズム/アクティビズムに関係する研究、作品発表を募集します。
SGFA東京は、多様な創造的・理論的形態において表現される音とジェンダー、アクティビズムに着目し、学術的・芸術的な研究を探求するリサーチ・イベントです。国内外の研究者や実践者のネットワークを確立し、研究を共有することを目指しています。今回、SGFA東京の開催にあたって、発表者を公募します。すべての関連領域からのあらゆる形式による発表--学術的な発表はもちろんですが、もっと実験的なもの、たとえば音の作品や映像作品、パフォーマンスなども歓迎です。本イベントは、公募によって選考された発表者を中心に構成されます。
SGFA東京は、サウンド・アーティストの北條知子を中心に、ロンドン芸術大学CRiSAP、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科による共同主催によって企画運営されます。SGFA東京の開催を通じて、これまでの国際的なネットワークをさらに拡張することを期待しています。
SGFA(サウンド::ジェンダー::フェミニズム::アクティビズム) について
SGFA(サウンド::ジェンダー::フェミニズム::アクティビズム)は、2012年にロンドン芸術大学の研究所CRiSAP(クリエイティブ・リサーチ・イン・サウンド・アーツ・プラクティス)の研究者とアーティストによって始められました。CRiSAPは、サウンド・アーツという新しい学術領域の発展と拡張、サウンドアートの実践の言説的文脈の拡大と深化の促進を目指しています。SGFAは、多種多様なコラボレーターと実践されてきた音と実験音楽の分野における、歴史的な、そして同時代的なフェミニスト言説に関する現在進行中の研究の一部です。この研究の目的は、ジェンダーやフェミニズム、そしてクィアの政治に関与するサウンドアート、音をベースにした芸術、実験的な音楽の言説や実践の中におけるアクティビズムの場所とパフォーマンスを拡大し、それに疑問を投げかけ、さらにこの領域で活動する研究者や実践者のネットワークの拡張に貢献することにあります。SGFAはこれまで2012年、2014年、2016年にロンドンで開催され、世界各国から幅広い領域の発表者と参加者が集まりました。
公募情報
応募および発表は、英語、日本語いずれも可能です。応募希望者は以下3点を2019年6月17日(月)までに、sgfa-tokyo@crisap.orgまでお送りください。
1 発表のテーマ、トピック、形態を含めたプロポーザル(300字以内)
2 発表者の経歴(200字以内)
3 発表予定の言語(日/英)
募集形態:研究発表または作品発表
発表言語:日本語または英語
募集期間:〜2019年6月17日(月)
問い合わせ:sgfa-tokyo@crisap.org
URL: http://ga.geidai.ac.jp/2019/04/29/sgfa_tokyo/ (日本語)
http://ga.geidai.ac.jp/en/2019/04/29/sgfa_tokyo/(英語)
https://www.crisap.org/2019/04/26/cfc-sgfa-tokyo-2019/(英語/CRiSAP)
開催情報
日時:2019年10月4日(金)・5日(土)
場所:東京藝術大学大学美術館 陳列館
主催:ロンドン芸術大学クリエイティブ・リサーチ・イン・サウンド・アーツ・プラクティス(CRiSAP)、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科
主な企画者プロフィール
北條知子 Tomoko Hojo
実験音楽とサウンド・アートの領域で活動するアーティスト。近年は、「過去に実際に起こったこと」と「あったこととして記述されるもの」とのギャップに注目し、リサーチや作品制作を通じて、記録の過程で沈黙させられた複数の声を可聴化する試みをおこなっている。個人活動のほか、個々人の私的で隠された音と場所との関係を明らかにするサウンド・アート・コレクティブ Hojo+Kraftとしてサウンド・アーティストのラヘル・クラフトと共同制作をおこなう。また、ジョン・ケージが提唱した記譜とシアターの問いをめぐる東京を拠点とするグループ「実験音楽とシアターのためのアンサンブル」の企画者・出演者としても活動している。2017- 2018年にポーラ美術振興財団の在外研修員、ロンドン芸術大学 ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニ ケーションにあるサウンド・アート研究所CRiSAPの客員研究員。2015年、東京藝術大学大学院音楽研究科芸術環境創造分野、ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション MAサウンド・アーツ修了。https://tomokohojo.net
キャシー・レーン Cathy Lane
キャシー・レーンは、話し言葉、フィールドレコーディング、アーカイブ資料を用いて、我々の聴覚がもつ相互的で多元宇宙的な関係を探求することに関心をおく作曲家、サウンド・アーティスト、研究者である。現在は、フェミニズの観点から、どのようにして音が、過去、歴史、環境そして共同/個人の記憶と結びつくのかということに焦点をあてる。主な著作に、Playing with Words: The Spoken Word in Artistic Practice(RGAP, 2008)、In the Field(2013、Angus Carlyleとの共著)などがある。彼女はロンドン芸術大学のサウンド・アーツの教授であり、CRiSAPの共同ディレクターである。https://cathylane.co.uk/
[関連リンク]
CRiSAP | Graduate School of Global Arts (GA), Tokyo University of the Arts |
Tomoko Hojo | SGFA2012 | SGFA2014 | SGFA2016 | SGFA Zine |
Feminisms and the Sonic | Her Noise Archive
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[本件に関するお問い合わせ先]
SGFA東京実行委員会
担当:北條知子
TEL:080-1561-1903
Mail:sgfa.tokyo@gmail.com
「過去の音が問うもの──「日本美術サウンドアーカイヴ」の問題意識」
日本美術サウンドアーカイヴ関連記事/サイト更新
Artscapeに石谷治寛様、畠中実様との鼎談記事を掲載していただきました。「メディアから考えるアートの残し方」をテーマに、僕は日本美術サウンドアーカイヴについて話しています。
日本美術サウンドアーカイヴのサイトをいろいろと更新しました。まず、これまでに配布したリーフレットのテキストを公開しました。かなり量があります(僕の文章だけで5万字以上)。ゆっくりお読みいただけるとうれしいです。
先に開催した今井祝雄様の個展についての情報も掲載しました。
今井様の個展で販売したカセットエディションについての情報も掲載しました。こちらは下のオンラインショップで視聴・購入できます。
VLZ PRODUKTではこれまでのカセットエディションや、カセットエディションを共同制作してきたEdition Cococaraの作品も視聴・購入できます。ぜひ覗いてみてください。
日本美術サウンドアーカイヴサイト公開/展覧会のご案内
日本美術サウンドアーカイヴのウェブサイトを公開しました。これまでのプログラムや制作物の記録をまとめています。ぜひご覧ください。
日本美術サウンドアーカイヴ
日本美術サウンドアーカイヴの次回の展覧会は、今井祝雄様の作品を取りあげます。会期は来年2月20日より、会場は大阪市中央区のギャラリー+1artです。
日本美術サウンドアーカイヴ──今井祝雄《Two Heartbeats of Mine》1976年
会期 2019年2月20日(水)~3月9日(土)11:00-19:00
日月火曜休廊 最終日は11:00-17:00
会場 +1art (大阪市中央区谷町6-4-40) http://www.plus1art.jp/
展示作品
今井祝雄《Two Heartbeats of Mine》1976年
今井祝雄《ポートレイト/私だけの》1976年 他
トークイベント
日時 2019年2月20日(水)19:00-20:30
会場 +1art 入場料 500円
予約 +1art 050-3402-6279 plus1art@gmail.com
出演 今井祝雄、金子智太郎
作品画像等の詳細はこちらのページをご覧ください。
会場では今井様の近作の展示や、作品解説リーフレットの配布も行います。またカセットエディション「今井祝雄、倉貫徹、村岡三郎《この偶然の共同行為を一つの事件として》1972年」を販売します。お時間がありましたらぜひお越しください。
10月~11月のイベント参加
10月から11月にかけて、いくつかのイベントに参加します。講師、研究発表、トークゲスト、企画協力と役割はまちまち。
ひとつめと3つめはサウンドアート関連、2つめと4つめは聴覚文化関連です。お時間ありましたら会場で会いましょう。
連続フォーラム「アートがつなぐサイエンス・テクノロジー・倫理・美学」
「音の芸術を構成するもの―聴く・再生・演奏の関係性から」
10月25日(木) 國學院大學渋谷キャンパス
https://jfac.jp/culture/events/e-kokugakuin-forum/
講師 dj sniff、金子智太郎
国際日本文化研究センター 2018年大衆文化研究プロジェクト総合国際シンポジウム
「メディアミックスする大衆文化」
10月27〜28日 京都リサーチパークサイエンスホール
http://eacjs.rspace.nichibun.ac.jp/a_program.html
10月27日(土)
研究発表 金子智太郎「録音によるアマチュア創作文化「生録」における批評の意義」
展覧会「空白より感得する」
10月13日〜11月11日 瑞雲庵(京都市北区)
http://mhrs.jp/blanks/about/work/index.html
10月28日(日)
トークイベント出演 三原聡一郎、斉田一樹、金子智太郎
市民科学講座「災害のときのラジオ コミュニティのための番組をいかにつくるか」
11月23日(金・祝)
https://www.shiminkagaku.org/csijseminar_cfm_20181123/
講師 佐々木健二、長﨑励朗、瀬野豪志
協力 金子智太郎
オーディオユニオン録音コンテスト入選作品集
サイトに「オーディオユニオン録音コンテスト入選作品集」のページをつくりました。収録された作品をyoutubeに公開していきます。
https://tomotarokaneko.com/projects/aurc/
1970年代、テープレコーダーによってさまざまな音を録音することを楽しむ趣味が「生録」と呼ばれ、流行しました。生録とは生録音の略です。音楽だけでなく会話、蒸気機関車、祭、鳥や虫、身のまわりの音、架空の音など、録音の対象は広がっていきました。各地に同好会がつくられ、専門誌、ラジオ番組、生録用レコーダーやアクセサリー、コンテスト、ツアーなどが流行を支えました。
「オーディオユニオン録音コンテスト」は当時、おそらくもっとも継続した生録コンテストです。1971年から80年まで、全10回開催されました。第1回の募集要項には「特別に課題はありません、あなたのテーマをあなたの腕で自由に表現して下さい」とあります。入選作品はLPレコードに収録され、応募者に配布されました。当時の生録のありかたを聞くことのできる貴重な音源のひとつです。
この「オーディオユニオン録音コンテスト」第3回から第10回の入選作品集レコードに収録された作品を、ディスクユニオン社様のご厚意により許可をいただき、youtubeに公開します。この音源の著作権はディスクユニオン社にあります。商業利用は禁止されています。
このコンテストの情報を求めています。当時生録を楽しんでいた方、コンテストに応募された方、入選された方、お話を聞かせてください。コンテスト第1回、第2回の入選作品集も探しています。制作されたのかどうかも把握できていないので、教えていただけると助かります。またご希望の方にはwavファイルをお譲りします。tomotarokaneko -at- gmail.comまでご連絡ください。
残りのレコードも順にアップロードする予定です。少々お待ちください。