翻訳 D・カニングハム「集合体 中島吏英のサウンド・オブジェ」

中島吏英さんの作品集『おとになるーー30個のオブジェと10分の音』(トゥルーリング、2018年)が出版されました。収録されている論考、デイヴィッド・カニングハム「集合体ーー中島吏英のサウンド・オブジェ」を翻訳しました。

『おとになるーー30個のオブジェと10分の音』紹介ページ
http://cawaiifactory.jp/journal/#/true_ring/_3010/


作品集は中島さんによる日用品やモーターを組みあわせてつくられたオブジェの写真が中心で、QRコードもついていてオブジェの音を聞くことができます。Special Editionはサイン入りCDつき。

カニングハムの論考は中島さんの展示やパフォーマンスを個々に紹介しながら、作品のひとつの聞きかたを提案するような内容です。

 たいていの場合、作品を構成するオブジェをひとつひとつ作動させていくと、全体の音の大きさは予想どおりだんだん上がっていく。しかし、全体の音のダイナミクスはゆるやかに上がるのではなく、対数曲線を描くように上昇する。中島の作品ではよくプロセスの途中のあまり予想できない時点で全体の音量が急上昇する。そうすると、それぞれのオブジェの個性的な音が全体の音に混ざり、作品が均質になる。個々の音は聞きわけられなくなり、全体が雪だるま式に空間をすっかり満たしていく。この状況がどうやって生じるのかを特定するのは難しい。オブジェがだす音が一定の量に達すると反響し、共振周波数や高調波によって強められるといった、空間の音響効果が関係しているのだろう。

『おとになるーー30個のオブジェと10分の音』は六本木のShugo Arts 、国立のMuseumshopTで販売しています。通販も準備中だそうです。詳細は上記リンク先に。